ローブの男が会場に足を踏み入れる会場には客席へと繋がる通路が何本もあり、それらは裏手でぐるりと会場を一周する長い廊下と繋がっている観客のおよそ半分ほどがすでに会場から姿を消しており、もう半分の観客も出入り口の階段に殺到している状態であったローブの男が予想していたほどの混乱は起こっていないようだったが、まぁいいだろうと判断する今なら会場に忍び込んでもそれほど目立ちはしないだろうわざわざ封印を解いて幻視の魔法という面倒くさい事をする価値は少しはあったようだと男はローブの下の口元に笑みを浮かべたさぁて、ちょっとした彼の不手際も、まーぁ許してぇあげましょーう、カー製品よし、封じ込め完了っと...